信越化学工業と経営思想が似ている化学業界の企業~日東電工、東京応化工業~

 信越化学工業は日本の化学業界の企業の中で、時価総額がNo1であり、元社長の金川千尋さんは国内外問わず有名な経営者であり、複数の賞を受賞されているようです。そんな信越化学工業の経営哲学は端的には2点であり、それぞれの定量的な指標について考えました。
①世界で勝負していること。⇒海外売上比率が高い。
自己資本で設備投資をすること。⇒自己資本比率が高い。
 そんな信越化学と同じ考え方で、経営している化学業界の企業も、きっと未来の時価総額No1企業となるでは?と考えて、化学業界の企業に関して、上記2点から調査しランク付けをしました。

★海外売上比率の観点
●ランキングI(70%≦海外売上比率)
日本ペイントHD(80),東京応化工業(79),日東電工(78),信越化学工業(74),クラレ(71),ニフコ(70),AGC(70)

●ランキングII(60%≦海外売上比率<70%)
住友化学(68),DIC(65),サカタインクス(62),関西ペイント(61)

●ランキングIII(50%≦海外売上比率<60%)
三菱瓦斯化学(59),ユニ・チャーム(59),JSR(59),住友ベークライト(58),高砂香料工業(58),富士フイルムHD(58),日本ゼオン(57),東レ(56),ダイセル(56),日本触媒(55),資生堂(55),三井化学(54),ADEKA(51)

●ランキングIV(30%≦海外売上比率<50%)
セントラル硝子(50),日産化学(48),日本酸素HD(48),東洋インキSCHD(46),東ソー(46),レゾナック(46),三菱ケミカルG(45),三洋化成工業(44),旭化成(43),アイカ工業(43),帝人(41),カネカ(40),デンカ(40),日本曹達(38),花王(37),東洋紡(33),クレハ(30),UBE(30)

●ランキングV(海外売上比率<30%)
日油(29),日本化薬(27),ライオン(26),積水化学工業(25),出光興産(25),コーセー(25),トクヤマ(21),ENEOSHD(20),東亞合成(17),タキロンシーアイ(16),小林製薬(15),ポーラ・オルビスHD(15),エア・ウォーター(9),アース製薬(6),コスモエネルギーHD(5)

●未調査
エフピコ,ニチレキ,日本コークス工業,東亜石油,ビーピー・カストロール,富士石油,ユシロ化学工業,MORESCO,日本精蝋

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自己資本比率の観点
●ランキングI(70%≦自己資本比率)
ポーラ・オルビスHD(84),信越化学工業(82),ビーピー・カストロール(81),小林製薬(79),東亞合成(79),日本化薬(78),ニチレキ(77),日油(76),コーセー(76),日東電工(75),日産化学(74),三洋化成工業(72),東京応化工業(72),クレハ(71)

●ランキングII(60%≦自己資本比率<70%)
日本触媒(66),日本ゼオン(66),東ソー(65),日本曹達(64),富士フイルムHD(63),MORESCO(62),住友ベークライト(62),ライオン(62),ユシロ化学工業(62),タキロンシーアイ(61),三菱瓦斯化学(61),アイカ工業(60)

●ランキングIII(50%≦自己資本比率<60%)
ニフコ(60),花王(58),ユニ・チャーム(57),積水化学工業(56),高砂香料工業(55),東洋インキSCHD(55),関西ペイント(53),カネカ(53),ADEKA(53),クラレ(52),トクヤマ(52),デンカ(52),サカタインクス(52),AGC(51),旭化成(50),エフピコ(50)

●ランキングIV(30%≦自己資本比率<50%)
JSR(47),東レ(46),アース製薬(46),日本ペイントHD(46),日本コークス工業(45),UBE(44),セントラル硝子(43),資生堂(42),ダイセル(39),エア・ウォーター(39),東洋紡(38),三井化学(37),帝人(36),日本酸素HD(32),東亜石油(32),出光興産(31)

●ランキングV(自己資本比率<30%)
ENEOSHD(30),DIC(30),住友化学(28),三菱ケミカルG(26),昭和電工(25),コスモエネルギーHD(24),日本精蝋(22),富士石油(18)

※1 化学業界売上高ランキング50位まで+石油化学業界+α

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 表で見ると、信越化学工業に近い企業は、日東電工と東京応化工業であり、その他の化学業界の企業と大きく差があります。信越化学工業がTOPであることは間違いないですが、信越化学を目指す方の第二候補としては日東電工、東京応化工業が良さそうです。
 一方で信越化学工業と近しい企業に就職/転職することは、それなりの準備/覚悟が必要な側面もあるかもしれません (下記)。
・海外売上比率が高い⇒英語力が必要(事前に準備が可能)
自己資本比率が高い
⇒必要なタイミングでスピード感を持って、一気に大規模投資
⇒“一時的に”忙しいタイミングが生まれそう(覚悟が必要)

※2 「海外売上比率」に関して言及のある金川千尋さんの言葉
金児昭著Mr.金川千尋世界最強の経営(中経出版)(p.76).中経出版より引用

「世界で最適・安全な地に製品ごとに製造拠点をおいて、自分たちの力で良い製品をつくり、世界中へ売り切る力」です。それが、金川流の真の国際経営です。

※3 「自己資本比率」に関して言及のある金川千尋さんの言葉
金川千景著 社長が戦わなければ会社は変わらない(東洋経済新報社)(p.40)より引用

ぜひとも投資したい大きなチャンスが出てきたときに、手元にキャッシュなないと困るということです。例えば、現在では大きな買収の場合、最低でも1000億円のキャッシュが手元になくては出来ません。

※4
海外売上比率は2020年度データ、自己資本比率は2022/7データ

※5
過去記事より時価総額が最も高いのは、信越化学工業。株主評価が最も高い信越化学工業と、近い思想で経営している日東電工や東京応化工業は今後信越化学工業並みに株価が上がる可能性は高いと考えます。今後に期待ですね。

※6
信越化学工業は塩ビというコモディティ商品を扱っているにも関わらず、なぜ時価総額がこれほどにも高いのでしょうか。上記の通り、自己資本比率が高く、自由に使うことが出来ることに加えて、あえて工事費/設備費が安価な不況時に大規模な投資を実施していることも一因のようです。不況時は商品も売れにくいので、投資は長期的な視野に基づく必要があり、相当な覚悟が必要です。”今後は絶対売れるはず”という強い先見性も信越化学工業が発展している理由かもしれません。
下記本のP56に少し上記に関することが記載されていますので参考にどうぞ。
ビジネスエリートになるための投資家の思考法

 時価総額のランキングと変化ランキングに関しては、本ブログでまとめておりますので、最新データを知りたい方は以下からチェックできます。
jobofferdiary.hatenablog.com
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★その他の「企業比較」の記事はこちら★
jobofferdiary.hatenablog.com

★化学業界の「個別企業研究」の記事★
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