『信越化学工業』への就職/転職に向けた企業研究

 今回は、信越化学工業について調査をしました。簡易スクリーニングでは、化学業界売上高ランキング50位まで+石油化学業界の中で第4位となっており、上ランクに位置しております。成長性(時価総額)は、化学業界の中でぶっちぎりの一位です。また、技術力(総資産当たり純利益)も高く、企業としての存続という意味では最高ランクです。しかし、従業員への還元という意味で年収/働きやすさがそこまで良くないです。企業の安定性を求める人にはオススメの企業です。

★事業分野ごとの売上と営業利益の相関★
 さすが、信越化学です。ほとんどの事業分野で、売上と営業利益の相関を表す決定係数(R2)値は、余裕で0.6以上あります。生活環境基盤材料、電子材料事業、機能材料事業のR2はそれぞれ、0.95、0.98、0.84であり、売れば売るほど儲かっております。しかも、R2が高くなる分野は一般的に、ヘルスケア/農業などが多いですが、塩ビなどの汎用品もきちんと儲けているのが技術力/営業力の高さを確認できます。
 加工・商事・技術サービス事業はR2が低く0.5ですが、こちらは自社で製造したシリコン基板の容器を自製しており、他社が生産の流れに関わりにくいことから、生産への悪影響の芽を摘んでいるという観点からメリットは教授できているので、低いR2値は目をつぶっても問題ないでしょう。

※1 参考文献: 「日米欧の化学会社はどんな事業戦略をとってきたか:今後は」

★設備投資費/研究開発費の配分変化★
 信越化学はほとんどの事業分野が売上と利益のR2は基準の0.6よりも大きく上回っており、問題なく、日本の化学業界はここまでの会社はありません。普通の化学業界の企業は、R2が高い事業分野が1つあり、R2が低いい事業分野から高い事業分野に設備投資(や研究開発費)を分配していくのですが、信越化学はほとんど必要ありません。R2が0.6以上の事業分野に設備投資を96%以上(2021年)実施しており、唯一R2が低い事業である加工・商事・技術サービス事業はそもそも数%しかありません。


※2 信越化学は有価証券報告書に、研究開発費の事業分野ごとに記載されておらず、珍しい会社です。「複数事業部門に関する研究および現有事業に関連を持たない研究も多数含まれていることから、セグメント別の研究開発費は記載していません。」と記載されておりますが、秘密にしているんでしょうか。。。少し気になったので、メモです。

★設備投資費の伸びを化学業界の企業内で比較★
 有名どころの化学メーカーの企業に関して、この11年間の設備投資額の伸びをまとめた表が以下です。信越化学はTopです。信越化学の強さは、設備投資をガンガン上げてきていることに起因しておりそうです。先行者利益を得るべく、速攻で設備投資をしていくという姿勢が、数字にも表れております。



※ 2011年~2021年の設備投資額の増加割合に関して2011年を基準に算出。ただし、花王は2012年を基準としております。

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