『旭化成』への就職/転職に向けた企業研究

 今回は、旭化成について調査をしました。 簡易スクリーニングでは、工場などによる総資産の割に、利益を生み出せていないですが(レーダー図の”技術力”)、化学業界売上高ランキング50位まで+石油化学業界の中で第5位となっており、上ランクに位置しております。

★事業分野ごとの売上と営業利益の相関★

 全体的な事業状況について詳細を調べました。売上に対して利益をきちんと出せる事業を続けることが重要です。当然のことですが、これがなかなか難しいのです。旭化成には3本の大きな柱があり(①マテリアル②住宅③ヘルスケア)、それぞれの売上と営業利益の相関を表す決定係数(R2)は、0.66,0.60,0.84とどれも高い値となっております。特にヘルスケアは0.84と売上を伸ばせば、利益が伸びる素晴らしい事業を展開しております。一般的にヘルスケアは、参入障壁が高く安定した収益を得られることが知られておりますが、その通りの結果となっております(※2)。



※1 過去の事業の売上/営業利益/設備投資費/研究開発費に関しては、下記で計算。
マテリアル=ケミカル+繊維+エレクトロニクス
住宅=住宅+建材
ヘルスケア=医薬・医療+クリティカルケア
※2 参考文献: 「日米欧の化学会社はどんな事業戦略をとってきたか:今後は」
この資料の中にも旭化成が登場しておりますが、現在はこの資料当時(2017年)よりも発展していることが分かると思います。2017年当時は相関係数が0.60以上は、全体の売上に対して、46%しかありませんでした。しかし、現在は全ての分野が相関係数0.60以上を越えております。もしかしたら、事業分野再編などが効いているのかもしれませんが、それにしても良い方向に発展していると思います。

★設備投資費の分配★

 どの事業分野も安定した収益が得られているとはいえ、まだまだヘルスケアの売上は低く、ヘルスケア分野に力を入れていくことが、長期的な企業の存続に重要です。そこで設備投資費が、ヘルスケア分野に分配されているかを調べました。残念ながら、ヘルスケアの設備投資割合は2011年の14%からほとんど変わっていません(2021年は15%であり、1%しか増加しておらず)。現状に甘えている感が否めません。
 もちろんどの事業分野もある程度安定的に稼げているので、現状は問題ないのですが。。。設備投資の割合を変更する定量的な指標がありまして、「マッキンゼー ホッケースティック戦略―成長戦略の策定と実行」では、10年で50%見直すと良いとされています。この値には全然届きませんね。




★研究開発費の分配★
 設備投資費のヘルスケアへの分配は進んでいないものの、研究開発費に関してはヘルスケアへの分配が少しずつ進んできております。2011年当時、ヘルスケア割合は30%だったのが、2021年には56%まで上がっており、2倍近く割合が増加しています。ヘルスケア関連に関しては、設備投資よりもまずは研究開発を増加させる戦略なんでしょうか。




※3 旭化成は、経済産業省お墨付きの、グローバルニッチ企業に再生セルロース繊維事業でノミネートされております。
jobofferdiary.hatenablog.com

※4 旭化成は他社に比べて、転職者の求人数が多く、転職者に優しい企業な気がします。
メーカー専門の転職エージェント「タイズ」-製造業の求人・中途採用・転職情報が満載より作成

【化学】求人数ランキング カテゴリーの記事一覧 - 就職日記

※5 転職経験者に聞く「入社して良かった」トップ30社に唯一化学系の企業からノミネートされています。風土的に過ごしやすい社風なんでしょうね。
OpenWorkの口コミから独自スコアで試算したらしい。
toyokeizai.net

★「旭化成」学閥(2022年)★
 旭化成東京大学早稲田大学の出身者が多いです。2大学で化学業界の就活を考えている方はおすすめです。
大学通信オンライン より作成


化学業界の企業で、就職活動も就職後も少しでも楽して過ごしたい~迷ったときは、学閥で選択?~ - 就職日記

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