安定収益と働きやすさを両立する化学業界の企業~花王、旭化成、信越化学、日産化学、小林製薬、日油、ADEKA、アイカ工業~

★安定収益企業ランキング★

 化学系の企業は、いろんな分野の製品を生産しております。作った売上分の利益が出る分野(規模の理論が働く分野)とそうでない分野があります。売上に対して利益が安定して出ない分野の1例としては、原料の価格が大きく変動しやすい原油を主軸とする分野です。稼げるときはガッポリ稼げますが、外部要因に左右され不安定となってしまいます。
 また、化学系の企業もたった1つの分野で持続的に成長していくことが出来る訳ではなく、徐々に衰退していきます。数年~数十年で新たな分野に参入し、売上と利益がきちんと相関する分野に移行し、売上に対して利益をきちんと出すことの出来るように、企業は目指していく必要があります。

 そんな売上と利益の相関を示す指標として、売上と利益のR2値(決定係数)を導入しました。売上と利益に1次の近似直線を引き、その直線とプロットした点との差が少ない場合は、R2値は1に近く、売上に対してきちんと利益が伸びていると判断できます(上図)。
 私たちが転職/就職する際は、安定収益を有する企業に就職できるように、安定収益ランキングを作成しました。

●ランキングI: 0.85≦R2値(売上 vs 営業利益)
信越化学工業(0.97),日本酸素HD(0.96),ニフコ(0.95),ポーラ・オルビスHD(0.93),アイカ工業(0.92),日油(0.92),日産化学(0.92),ADEKA(0.9),タキロンシーアイ(0.89),小林製薬(0.88),エア・ウォーター(0.85)

●ランキングII: 0.7≦R2値(売上 vs 営業利益)<0.85
日本ペイントHD(0.84),ニチレキ(0.82),旭化成(0.8),ユニ・チャーム(0.77),積水化学工業(0.74),花王(0.74),ダイセル(0.73),コーセー(0.73),東京応化工業(0.72),日東電工(0.72),カネカ(0.7)

●ランキングIII: 0.45≦R2値(売上 vs 営業利益)<0.7
三菱瓦斯化学(0.69),クレハ(0.68),日本曹達(0.66),トクヤマ(0.65),住友ベークライト(0.62),東ソー(0.61),関西ペイント(0.53),資生堂(0.51),三菱ケミカルG(0.45)

●ランキングIV: 0.2≦R2値(売上 vs 営業利益)<0.45
日本コークス工業(0.44),住友化学(0.38),日本ゼオン(0.37),MORESCO(0.37),日本触媒(0.36),富士フイルムHD(0.35),東レ(0.32),セントラル硝子(0.32),東亞合成(0.29),エフピコ(0.28),デンカ(0.28),クラレ(0.26)

●ランキングV: 0.2≦R2値(売上 vs 営業利益)<0.45
UBE(0.19),ビーピー・カストロール(0.18),DIC(0.13),日本精蝋(0.13),サカタインクス(0.12),三洋化成工業(0.12),出光興産(0.1),レゾナック(0.1),帝人(0.1),高砂香料工業(0.09),コスモエネルギーHD(0.09),東洋紡(0.08),アース製薬(0.07),JSR(0.07),ライオン(0.06),ユシロ化学工業(0.06),AGC(0.05),富士石油(0.05),東亜石油(0.04),ENEOSHD(0.03),三井化学(0.02),日本化薬(0.01),東洋インキSCHD(0.002)

※1 化学業界売上高ランキング50位まで+石油化学業界+α
※2 売上と利益のデータは2010年~2021年のデータを使用
※3 売上に対して指数関数的に利益が上昇している企業は、R2が低く出てしまうので要注意ですが、残念ながら今のところそういった急成長企業は化学業界においては、確認できていないです。

★安定収益と働きやすさを両立する企業★
 安定収益ももちろん大事ですが、就職/転職に向けては働きやすさも大事です。働きやすさは、就職四季報による3年後離職率を採用し(※4)、2軸で下表にまとめました。
 安定収益と働きやすさを両立する企業は、以下に絞られました。
・働きやすさ重視の場合: 花王旭化成
・安定収益重視の場合: 信越化学工業、日産化学、小林製薬、日油、ADEKA、アイカ工業
他記事でも、花王旭化成信越化学工業は、高い成長性/持続安定性を有する企業としてランクインしておりましたが、日産化学、小林製薬、日油、ADEKA、アイカ工業などの今まで大きなスポットが当たっていない企業がランクインしているのは興味深いですね。


※4 働きやすさ: 3年後離職率定量化(詳細は過去記事参照)
I: 3年後離職率 平均<6%、標準偏差<2%(2017~2021年)
II:3年後離職率 平均<6%(2017~2021年)
III:ランクI,II以外
IV:データ無し(データを公開しておらず、怪しい)

【参考】本記事の参考になったレポート
・売上高と営業利益には正に相関⇒農業分野、ヘルスケア分野
・売上高と営業利益には相関係数は低い⇒化学品・プラスチック分野
・日本企業は海外企業と比べて、選択と集中が進んでいない。
https://arc.asahi-kasei.co.jp/report/arc_report/pdf/rs-1015.pdf

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