『東京応化工業』への就職/転職に向けた企業研究

 今回は、東京応化工業について調査をしました。技術力/安定性/年収/成長性/働きやすさを考慮した簡易スクリーニングでは、化学業界売上高ランキング50位まで+石油化学業界の中で第18位となっており、上位側にいます。成長性は低いですが、技術力/安定性は高く、働きやすい企業でもあります。
年収に関しては、OPEN WORK@30歳の値を参照しているのですが、東京応化工業に関してはデータがないため、以下低いように見えますが、有価証券報告書記載の平均年収は第10位であり(ただし、HDは除くランキング)、決して低くはありませんのでご注意ください。

 東京応化工業はこれまでの調査の中でも様々登場している、尖った企業です。経済産業省が選ぶグローバルニッチ企業(世界市場の規模が100~1000億円 かつ 20%以上の世界シェアを所有)に、フォトレジストの分野で選定されております。

 日本の企業の中の時価総額No1である信越化学工業の思想と似ている企業でもあります。海外売上比率が高く(79%)、自己資本比率が高い(70%)です。海外での基盤に基づき、日本だけではなく適切な場所で勝負しており、自己資本比率を上げることで、「ここぞ」というときに一気に他社よりも早く設備投資をすることが出来る準備があります。先行者利益を吸いながら、次の勝負に備えるのです。

 東京応化工業は従業員数が他の売上が高い企業と比較して少ないです。一見、従業員数が少ないことは安定していないように思えますが、従業員数が少ないことで”無駄に細かい”分業体制にならず、製品に対して川上から川下まで扱うことが出来るようになります。「科学的な適職」によると、適職選びの1つの指標として、川上から川下まで扱うことが出来るかどうかを紹介しております。

 東京応化工業は、売上に対する研究開発費が化学業界の中でトップクラスであり、資金を潤沢に投資しております。従業員にとっては、お金のない状態での研究ほど辛いものはりません。東京応化工業では、研究開発志望の方にはオススメです。

★事業分野ごとの売上と営業利益の相関★
 それでは、東京応化工業はどのような事業分野があり、どれほど稼げているのか見ていきましょう。東京応化工業には、材料事業と装置事業しかありません。さらにほとんどの利益は材料事業で得ているため、ほぼ一本足打法です。従業員としては、少し不安になりますね。しかし、売上と利益の相関を表す決定係数(R2)は、材料事業、装置事業それぞれ、0.91、0.61です。R2が高い事業は、安定して稼げている事業と言え(文献※1より0.7が基準)、稼ぎ頭の材料事業は、定量的な判断で安定して稼げていると言えるでしょう。

※1 参考文献: 「日米欧の化学会社はどんな事業戦略をとってきたか:今後は」

★設備投資費/研究開発費の配分割合★
 上述の通り、材料事業は稼いでいるが、装置事業はイマイチです。私が東京応化工業のお偉いさんであれば、材料事業に研究開発費や設備投資費を割り当て、装置事業は予算削減していきます。有価証券報告書より研究開発費や設備投資費における配分変化の時系列データを調べました。予想通り、2011年対比2021年に関しては、研究開発費は6%、設備投資費は3%程度、再分配をしております。そもそもの割り当てが少なく、ゼロにしてしまうと、本当に材料事業の一本足打法になるので、こんなものなのでしょう。
 東京応化工業の課題は、2の矢、3の矢を掘り起こして、事業の柱にすることでしょう。個人的には、1から事業を作っていくよりも豊富な資金により、M&Aを積極的に実施していくべきだと思います。




 

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