『ADEKA』への就職/転職に向けた企業研究

 今回は、ADEKAについて調査をしました。簡易スクリーニングでは、化学業界売上高ランキング50位まで+石油化学業界の中で第43位となっており、低めのレベルとなっております。年収、技術力、成長性、働きやすさはそこそこですが、安定性は高めのレベルです。安定性に関しては、高めのレベルとなっており、中期的な企業の存続には問題ないと言えます。

★事業分野ごとの売上と営業利益の相関★
 ADEKAの事業分野ごとに、安定した利益を得られている分野を調査することで、ADEKAの戦略を確認していきましょう。他の企業とは異なり、有価証券報告書は6年分しか遡ることができませんでしたので、6年分の調査となります。
 文献(※1)によると、安定した利益を得られている分野は、売上と利益の相関を表す決定係数(R2)が0.7以上と記載があります。ADEKAの事業分野である化学品、食品、ライフサイエンスにおけるR2は、0.78、0.48、0.75となっており、安定利益を得られているのは、化学品、ライフサイエンスとなっております。化学業界の企業の中で、2/3の事業分野が安定利益を得らているのは、素晴らしいですね。

※1 参考文献: 「日米欧の化学会社はどんな事業戦略をとってきたか:今後は」

★設備投資費/研究開発費の配分見直し★
 上記より、ADEKAの戦略としては、化学品、ライフサイエンスに投資を注力していくべきだと思うのですが、実際にADEKAの投資の配分見直しをどのように実施してきたのか調べていきます。
 設備投資費の事業ごとの割合に関しては2017年対比で2022年は、食品が13% DOWNした分、化学品 3% UP、ライフサイエンスが9% UPしており、想定通り、化学品とライフサイエンスに再分配を進めております。また、ライフサイエンスは、上記文献(※1)より、ライフサイエンスは、安定した利益を得られる分野とされており、ライフサイエンスの方が投資の増加率が高いのは問題ないはずです。ちなみに研究開発費の事業分野ごとの割合は有価証券報告書には記載されておらず、全額のみの掲載となっていますが、基本的には年々増加はしており、長期的な成長の礎を事業の拡大に合わせて築いております。
 このようにADEKAは、株主からの評価(成長性)や資産当たりの利益(技術力)は低めですが、1つ1つ丁寧に分析していくと、安定した分野を2つも持っており、かつ、投資の配分見直しもセオリー通りに進めており、個人的には成長性も問題ないかと思います。事業の存続という観点からは、みんなが評価していない穴場企業かもしれませんね。



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