『東レ』への就職/転職に向けた企業研究

 今回は、東レについて調査をしました。簡易スクリーニングでは、化学業界売上高ランキング50位まで+石油化学業界の中で第18位となっており、中間順位となっております。資産あたりの利益が低いため、技術力は低いですが、成長性や安定性は高いですので、企業の存続は問題なさそうです。東レは有名企業ですが、従業員に特化した指標である年収と働きやすさは中間レベルです。

★事業分野ごとの売上と営業利益の相関★
 事業分野ごとの売上と営業利益の相関を調べることで、東レの業績状況を調査していきます。文献(※1)より、売上と利益の相関を表す決定係数(R2)が0.7以上であれば、安定して儲かっている分野と言えます。この視点から東レの事業分野を見ていくと(下図)、事業分野ごとのR2の最大値は0.42(機能化成品事業)であり、どの事業分野も安定しているとは言えません。新しい柱の確立が急務となっているでしょう。さらに、文献(※1)によると、ライフサイエンス事業は、その他企業では安定して利益が得られる事業分野であり、そこに注力していくべきだということが書かれていますが、東レはライフサイエンス事業に関して全然儲かっていませんね。

※1 参考文献: 「日米欧の化学会社はどんな事業戦略をとってきたか:今後は」
※2 事業分野の比較のために、機能化成品事業=プラスチック・ケミカル事業+情報通信材料・機器事業として比較しております。

★設備投資費/研究開発費の配分見直し★
 この11年間の投資配分の見直し戦略を確認して、東レがどのような事業分野を重要視していきたのかを見ていきたいと思います。研究開発費は、ライフサイエンスが10% DOWNして、その分炭素繊維複合材料事業は10% UPしております。一方で、設備投資費は、機能化成品では10% DOWN、炭素繊維複合材料が10% UPとなっております。どちらにしても、炭素繊維複合材料にこの11年間力を入れてきたことが分かります。
 ただし、上記の通り炭素繊維複合材料は、売上と利益の相関が悪いですが(R2=0.42)、その他の事業に比べると高いため、炭素繊維複合材料に投資を集約するのも間違っていなかったと言えるかもしれません。本来であれば、次の矢をどのように育てるのかが、東レの一番のポイントかもしれません。
 加えて気になったのは、設備投資費の総額が2018年をピークに近年は下がっております。当然のことですが、設備投資は長期的な成長には必要不可欠でその金額が下がっているのは、怪しいですね。。。
 東レは、企業の存続自体はおおむね問題なさそうですが、怪しいポイントもそこそこあり、不安は残ります。従業員にとっても、そこまで年収高かったり、かなり働きやすい訳でもないので、人気企業に入りたい人は目指す感じでしょうかね。。。




東レ 学閥(2022年)★
東レ京都大学出身の方が多いようです。



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