『住友ベークライト』への就職/転職に向けた企業研究

 今回は、住友ベークライトについて調査をしました。簡易スクリーニングでは、化学業界売上高ランキング50位まで+石油化学業界の中で第43位となっており、低めの順位となっております。

 技術力・成長性・働きやすさは低ランクなのは上レーダー図の通りですが、外部機関による信用度は高く安定性はそこそこです。また、上レーダー図の年収はOPEN WORK記載の30歳年収を採用しております。有価証券報告書にも年収の記載はありますが、HD企業は参考にならないため、人気企業の比較がしやすいと考えて、OPEN WORKの値で比較しております。ただし、今回の住友ベークライトのように、OPEN WORKには記載がないが、有価証券報告書には記載のある企業もあります。過去記事より、有価証券報告書記載の年収比較を行った結果、住友ベークライトは781万円であり、高めのランキングとなっておりますので、年収は心配しなくても良さそうです。
 住友ベークライトが誇ることができるポイントは、新卒で入社した人がずっと長い期間働いているところです。どうしても入社してから在籍期間が延びていくと、途中で目が移り転職したりするのが通常ですが、化学業界の中で新卒入社の方が最も長く務めております。在籍した人が、この会社から転職する必要はないと考えている良い会社であると考えられます。

★事業分野ごとの売上と営業利益の相関★
 住友ベークライトの戦略を、事業分野ごとの売上と利益の相関から確認していきたいと思います。文献(※1)より、売上と利益の相関を表す決定係数(R2)が0.7以上であれば、安定している利益を稼いでいる、”儲かっている”事業分野となります。
 住友ベークライトの事業分野である半導体関連材料、高機能プラスチック、クオリティオブライフ関連製品のR2はそれぞれ、0.90、0.10、0.78であり、高機能プラスチック以外は基準のR2 0.7を超えており、3分の2の事業分野は安定しております。他の会社の分析も参考に確認頂きたいのですが、化学業界の企業において、安定した事業分野は1つあるかないかが通常なので、この点は素晴らしいですね。
 住友ベークライトの進むべき道は、半導体関連材料とクオリティオブライフ関連製品への投資を増やしていき、高機能プラスチックの投資を絞っていくだと思います。10年間の実績でどうだったのか見ていきましょう。

※1 参考文献: 「日米欧の化学会社はどんな事業戦略をとってきたか:今後は」

★設備投資費/研究開発費の配分見直し★
 研究開発費の事業分野毎の割合は2013年対比で、半導体関連材料が6%下がり、その分クオリティオブライフは6%上がっております。上記のあるべき戦略とは反しており、半導体関連材料が下がっているのは良くないですね。ここは、不安定な高機能プラスチックから配分の見直しをすべきで、むしろ半導体関連材料は研究開発費を上げていくべきです。
 一方で設備投資費の事業分野毎の割合は、時を経てもほとんど変わりません。
 せっかく、3分の2の事業分野が儲かっているので、その分野への配分割合を増やしていくことを推進していないのは、長期的な安定は得られない気がします。上記レーダー図で記載あるように、成長性や技術力が低いことも、これも1つの理由となっているかもしれません。
 「転職なんかしたくない、ずっと同じ企業で勤めたい」、さらに「現状は安定した事業分野を複数持っている」と思っている方には住友ベークライトはおすすめです。




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