『UBE』への就職/転職に向けた企業研究

 今回は、UBEについて調査をしました。簡易スクリーニングでは、化学業界売上高ランキング50位まで+石油化学業界の中で第24位となっており、ミドルレベルとなっております。成長性、技術力、年収はイマイチですが、外部機関が判断した安定性はTOPクラスであり、なんといっても働きやすい企業となっております。新入社員の3年後離職率は6%以下であり、化学業界の中でTOPクラスです。それだけではなく、子育てがしやすい企業である”プラチナくるみん”(※1)の企業にも選定されております

※1 ”プラチナくるみん”
・男性労働者の育児休業等取得率が30%以上
・男性労働者の育児休業等取得率および企業独自の育児を目的とした休暇制度利用率が、合わせて50%以上
・女性労働者の育児休業等取得率が、75%以上

★事業分野ごとの売上と営業利益の相関★
 UBEの事業分野ごとに安定して儲かっているかどうかを調査していこうと思います。まず、UBEは事業分野をコロコロ変えすぎており、2021年までで10年間で3回も変えております。(2022年にも変えております)
 コロコロ変えておりますので、以下のように大枠をまとめて分析していこうと思います。
・化学=化学+化成品・樹脂+機能品・ファイン+医薬品
・建設資材=建設資材+エネルギー・環境
・機械=機械・金属成形+機械
 下図が2012年から2021年の売上と利益の相関を示した図です。文献(※2)より、売上と利益の相関を表す決定係数(R2)は0.7以上あれば、安定して儲かっていると言えます。UBEは、化学、建築資材、機械それぞれ、0.51、0.40、0.54となっており、0.7には届きませんが、事業分野ごとの差はなく、突出していいものも悪いものもなく、全部そこそこです。
 文献(※2)において、グローバル企業と国内企業を比較しながら、安定して儲けられる事業分野の1つとして医薬分野が紹介されております。上記のように、UBEは事業分野をコロコロ変えているので、その中で医薬分野が2012~2016にあり、そちらのR2は0.65と他の分野よりはR2が0.7に近しいです。このような医薬分野に投資を分配していき、医薬分野を成長させていくことが、企業の戦略であるはずです。しかし、なぜか2017年に化学分野に医薬分野に取り込んでしまい、医薬分野だけの成果が見えにくい状況となってしまっており、透明性が低く、微妙ですね。
 それでは、どんぐりの背比べ状態である、化学分野、建設資材分野、機械分野の投資における配分見直しを実際にどのようにやってきたかを見ていきましょう。



※2 参考文献: 「日米欧の化学会社はどんな事業戦略をとってきたか:今後は」

★設備投資費/研究開発費の配分見直し★
 まずは研究開発費に関してです。そもそもの研究開発費の総額は2000百万円ほど2020年から10年間で下がっております。研究開発費は、次世代の製品の種づくりですから、長期的な成長においては重要な費用となっておりますが、そちらが下がっているのは、イマイチかもですね。上記のざっくりレーダー図でも同様に成長性や技術力は低いですからね。。。
 話がそれましたが、研究開発費の割合は、化学分野、建設資材分野、機械分野、において横ばいで全く変わっておりません。設備投資費の割合は、この10年間で化学分野は9%下がっており、その分、建設資材分野が6%上がり、機械分野が3%上がっております。すなわち、UBEの戦略としては、化学分野よりも建設資材分野や機械分野に投資していこうという気持ちがうかがえます。しかし、化学の中には、さきほど記載の医薬分野も含まれており、投資は増やしていくべきだと思いますが、戦略が失敗している気がします。
 まとめると、長期的な成長は見込みづらいですが、現状は従業員が働きやすく、なおかつ全体的に大きなマイナスもない企業ですね。




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