『東洋紡』への就職/転職に向けた企業研究

 今回は、東洋紡について調査をしました。簡易スクリーニングでは、化学業界売上高ランキング50位まで+石油化学業界の中で第49位となっており、低めのレベルとなっております。企業に対して貸したお金を返すことが出来るかどうかの調査による信用(安定性)は高いですが、技術力、成長性、年収は低く、働きやすさもそこそこです。


★事業分野ごとの売上と営業利益の相関★

 事業分野それぞれにおいて、安定して儲けている事業分野なのかを判断していくことで、東洋紡の戦略を調査していきたいと思います。2020年に事業再編があり、これまでの事業分野をモビリティ、生活・環境に分離しております。
 文献(※1)より、売上と利益の相関を表す決定係数(R2)が0.7以上であれば、安定して儲けている事業分野と判断することができます。この視点で東洋紡の各事業分野を見ていくと、、、これまでの東洋紡でR2を超えている分野はありません。。。モビリティが唯一0.7を超えているようにも見えますが、傾きが負ですので、意味ありません。一番マシなのでは、産業マテリアル分野のR2 0.43です。基本的には新しい事業分野を確立していくことが東洋紡の急務であろうと思います。
 さらに、文献(※1)によると、ライフサイエンスの分野では、R2は高くなる傾向にあり、ライフサイエンスに力を入れていくべきと記載があるのですが、東洋紡のライフサイエンスはR2が0.41とイマイチですね。事業分野としてライフサイエンスに進出しているのはいいですが、、、

※1 参考文献: 「日米欧の化学会社はどんな事業戦略をとってきたか:今後は」
※2: ヘルスケア=ライフサイエンス、繊維・商事事業=衣料繊維事業としてプロット作成

★設備投資費/研究開発費の配分見直し★
 ポイントとなるのは、研究開発費における全社共通分野の割合が増えているかどうかです。全社共通分野は、今後を担う新規事業に関する開発の可能性が高いからです。下図の通り、研究開発費は30%から変わっておりません。ただし、2019年までは割合が徐々に減っており、30%→23%であり、2019年から2022年で盛り返している形です。やはり、2019年で戦略の間違いに気づき是正したのでしょう。
 また、設備投資に関しては、フィルム・機能樹脂事業における2012年から2019年までの間で17%増加しており、比較的多くの金額の配分見直しを進めており、なんとかしようという気持ちを確認できました。前章の通り、フィルム・機能樹脂事業の売上と利益の相関を表す係数(R2)は0.32とあんまり安定していないのですが。。。ここに力を入れるのは微妙な気がしますが。。。






★化学業界の「個別企業研究」の記事★
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