『デンカ』への就職/転職に向けた企業研究

 今回は、デンカについて調査をしました。簡易スクリーニングでは、化学業界売上高ランキング50位まで+石油化学業界の中で第36位となっており、MIDDLEレベルとなっております。デンカは技術力、年収、成長性が低いですが、TOPレベルの安定性とそこそこの働きやすさを兼ね備えております。
また、OPEN WORKにおける30歳と40歳の年収比を比較した際に、40歳/30歳は化学業界の企業の中で、最も高く、中堅を重要視している企業であり、年収の伸びが素晴らしい企業です

★事業分野ごとの売上と営業利益の相関★
 デンカの事業分野ごとに安定して儲かっているかどうかを判断し、デンカの企業戦略を確認していきます。デンカは事業分野を2021年の大きく変更しており、データ数が少ないため、2020年までのデータでデンカの過去の考え方を見ていきます。(プロットは念のためしております)
 文献(※1)より、安定して儲かっているかどうかは、売上と利益の相関を表す決定係数(R2)が0.7以上であるかで判断できそうです。デンカでR2が0.7を超えている事業分野は、電子・先端プロダクツ、ライフイノベーション、生活・環境プロダクツであり、2020年時点の事業分野のうち、5分野中3分野が超えており、安定している事業分野は化学業界の企業の中でも多いですね。
 デンカは、電子・先端プロダクツ、ライフイノベーション、生活・環境プロダクツに投資を集めていくべきですが、実際はどのように投資を見直してきたかを次章で見ていきましょう。

※1 参考文献: 「日米欧の化学会社はどんな事業戦略をとってきたか:今後は」
※2 事業分野の名前だけ変更した場合は以下のように同じ事業分野としてプロットしております。
・電子・先端プロダクツ=電子材料
エラストマー・機能樹脂=有機系素材事業
・インフラ・ソーシャルソリューション=インフラ・無機材料=無機系素材事業
・生活・環境プロダクツ=機能・加工製品

★設備投資費/研究開発費の配分見直し★
 事業分野ごとに、投資額の配分見直しをどのように進めてきたか見ていきましょう。まずは、事業分野ごとの研究開発費に関して2012年対比2020年は、電子・先端プロダクツ 4% DOWN、エラストマー・機能樹脂9% DOWNした分、インフラ・ソーシャルソリューション 3% UP、ライフイノベーション+生活・環境プロダクツ 8% UPとなっております(ライフイノベーションは2017年に生活・環境プロダクツから切り離されたため、2012年からの比較ではライフイノベーション+生活・環境プロダクツとしました。)。研究開発費の配分見直しはあまりされていないですが、稼ぎ頭の電子・先端プロダクツが下がっているのが微妙で、なぜかインフラ・ソーシャルソリューションが上がっているのは戦略として微妙かもですね。
 事業分野ごとの設備投資費に関して2012年対比2020年は、ライフイノベーション+生活・環境プロダクツは5% DOWNしている分、電子・先端プロダクツ 3% UP、インフラ・ソーシャルソリューション 3% UPしております。こちらもほとんど事業分野ごとの配分見直しは進んでいませんが、儲かっている事業分野を減らしたりもしているため、微妙です。事業分野の名前を変えて、小細工するぐらいんならきちんと儲かっている分野への投資を進めていく方がいいと思うのですが。。。
 まとめると、長期的にみると戦略含めて怪しいですが、現時点では安定性は高く、そこそこ働きやすく、年収の伸びも良い点で、就職/転職先の候補の1つとなり得るかもしれませんね。




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