『帝人』への就職/転職に向けた企業研究

 今回は、帝人について調査をしました。簡易スクリーニングでは、化学業界売上高ランキング50位まで+石油化学業界の中で第31位となっており、MIDDLEレベルとなっております。技術力、成長性は低いですが、年収と安定性がトップクラス、働きやすさはそこそこですね。
 帝人は後述の通り、設備投資費が高い年があり、化工人材にとっては、この上ない経験を積める可能性があります。一方で、設備投資費は安定しておらず、一気呵成で進めるため、入社タイミングなども左右しそうです。
 さらに、若手と中堅の年収差を比較した過去の記事において、化学業界の企業の中では、若手/中堅の比が小さく、若手を重要視しております

★事業分野ごとの売上と営業利益の相関★
 帝人の事業分野ごとに安定した利益を出しているかを調査することで、戦略を明らかにしていきたいと思います。帝人は2017年に事業分野を大きく変更しておりますが、本質的には分けているだけなので、調査の目的に見合うように、マテリアル=マテリアル+繊維・製品+高機能繊維・複合材料+電子材料・化成品+製品事業として試算しました。また、その他=その他+ITです。
 文献(※1)によると、売上と利益の相関を表す決定係数(R2)が0.7を超えていれば、安定して利益を出していると言えます。マテリアル、ヘルスケア、ITその他のR2はそれぞれ、0.18、0.78、0.10となっており、ヘルスケアのみが基準を越えており、安定していると言えます。すなわち、事業分野をコロコロ変えているマテリアルの本質は不安定でそれをごまかすためな気がしてなりません。帝人としては、安定しているヘルスケアに投資を集中していくべきですが、実際はどうなのでしょうか!?

※1 参考文献: 「日米欧の化学会社はどんな事業戦略をとってきたか:今後は」

★設備投資費/研究開発費の配分見直し★
 研究開発費の事業分野ごとの割合は2012年対比2022年に関して、IT、その他が17% DOWN分マテリアル11% UP、ヘルスケア 5% UPとなっており、ヘルスケアに投資を増やしておりますが、マテリアルの方が増やしています。うーん。
 一方で設備投資費は事業分野ごとの配分見直しをかなり進めております。設備投資費は2021年にヘルスケアに対して、大幅に増やしており、2012年対比の事業分野ごとの設備投資費の割合は、マテリアル 29% DOWN、ITその他 12% DOWNしている分、ヘルスケアに対して41% UPさせております。「マッキンゼー ホッケースティック戦略―成長戦略の策定と実行」によると、10年間で設備投資の50%以上を見直しているかどうかを成長する企業の1つの指標としておりますが、それに近しい値まで到達しております。
 まとめると、帝人は、従業員のとっては通常レベルの働きやすさを有しており、企業の存続に関しては今のところ問題ないですが、なんとか安定事業であるヘルスケアを成長させていきたいという意欲を設備投資費のUPから感じる一方で、研究開発費の配分見直しの戦略はイマイチです。




★関連記事★
jobofferdiary.hatenablog.com
jobofferdiary.hatenablog.com

★化学業界の「個別企業研究」の記事★
jobofferdiary.hatenablog.com

★化学業界の「企業比較」の記事★
jobofferdiary.hatenablog.com